ブロックチェーンの新しいブロック生成に必要なのがマイニング作業です。
マイニング作業に参加する人をマイナーと呼びますが、マイニング作業とは何を行うのか、どのように報酬が発生するのか、マイニングに関係する51%攻撃とはどのようなものなのかを解説します。
Contents
1. ブロックチェーンにはマイナーが必要!
仮想通貨の取引履歴、取引台帳データはブロックチェーン上に保管されます。新しい取引が生じた場合に、それを検証し、新たなブロックに追記する作業が必要になります。
これを行うためには、マイナーが必要というわけですが、このマイナーとは何なのか、彼らの行うマイニングとは何なのかをもう少し詳しく説明します。
1-1. マイナーとは?
簡単に言えば、マイニング(採掘)を行う人、または企業のことをマイナー(採掘人)と呼びます。
ビットコインの取引が始まった最初の頃は、個人のパソコンでマイニングを行うマイナーもいましたが、現在では専用のASIC機を何千台も連ねたファームでマイニングを行う企業や組織でなければビットコインのマイニングは行えません。
ですから、個人のマイナーはアルトコインでマイニングを行うケースがほとんどです。
マイナーになるとマイニングで報酬を得られえる可能性があるので、個人や企業がマイナーとして活動します。
1-2. マイナーが行うマイニングとは?
マイナーが行うマイニングとは、新たなブロックを作成し、その作業に対する報酬として新たなコインを得ることを指します。
パソコンという道具を用意し、成功すれば新規コインを獲得でき、それがさらにまた流通するという過程が、金などの採掘のために、道具を準備し、鉱脈などに当たれば、金を獲得でき、それがさらに世間に流通する過程と似ているので、マイニング(採掘)と呼ばれています。
仮想通貨の新たな取引リクエストが送られると、分散されている取引台帳データと新たな取引リクエストを検証し、それを新しいブロックとして追記する作業がコンピュータを使って計算して行われます。
膨大な数のコンピューターがそれに参加しますが、膨大な計算量を必要とする計算作業を最初に成功させたマイナーが取引の承認者となり、新たなブロックを既存のブロックチェーンにつなぐ権利を得られ、その成功報酬として新規のコインをもらえるという仕組みです。
1-3. プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とは?
マイニングと関連付けて使われるのが、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)です。
プルーフ・オブ・ワークとは直訳では、「仕事量の証明」です。コンピュータの計算量つまり仕事量に応じて、誰が新しいブロックに記録するかを決めるということです。
ビットコインではこのプルーフ・オブ・ワークの仕組みを利用していますが、簡単にプルーフ・オブ・ワークからマイニングで報酬を獲得するまでの手順を簡単に説明すると以下のようになります。
①直近10分に行われた世界中の新しい取引のリクエストが集められたブロックが作られる
②その新しいブロックを追記するための難しい計算をマイナー達が一斉に行う
③計算問題を一番早く解いて答えを出したマイナーが、他のマイナーに答えが出ましたと発表する
④他のマイナーによる答え合わせが行われる
⑤答えが正解であるならば、それが新しいブロックに追加される
⑥正解を出したマイナーに、新たなコイン、ビットコインであれば新規のビットコインが報酬としてもらえる
仮想通貨取引所bitFlyer(ビットフライヤー)では、その過程が次のように説明されています。
”ブロックはトランザクションをまとめたものです。まだどのブロックにも入っていないトランザクションを集めて、それに自分自身の報酬トランザクション(コインベースと呼びます)を加えたものに任意の数値(ナンスと呼びます)を加えてそのハッシュを計算します。そのハッシュ値の先頭の0がn個以上あれば(つまり一定の数値以下の値であれば)採掘が成功し新たなブロックとして配信します。”
(https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/miningより引用)
この特定の条件を満たすハッシュ値を出すために必要な数値(ナンス)を探す、つまり計算する作業が、新たなブロックを作成するために必要ということです。各マイナーつまりコンピューター(ノード)は全探索、総当たりの方法でこのナンスを探します。ですから
コンピュータの計算量、つまり仕事量により、ブロック生成の権利が与えられる、つまりマイニングに成功できるかどうかが変わってきます。
コンピュータの処理能力は、日増しに進歩していますが、ビットコインを管理する側は、過去のブロック作成にかかった時間などを考慮して、新しいブロックを作成するために必要な時間が10分程度になるように、採掘難易度を調整しています。つまりナンスを見つける計算を難しくしています。
しかし、家庭用のパソコンでは、高性能のマイニングに適したコンピュータには処理能力で劣るので、自分個人のパソコンでビットコインのプルーフ・オブ・ワークに参加し、コインを報酬としてもらうというのは非常に難しいのが現状です。
2. ブロックチェーンのマイナーに報酬が発生する仕組み
ブロックチェーン上に新しいブロックを作成する場合、マイナーの個人や企業が提供しているコンピューターで、過去の取引と新しい取引リクエストとの整合性を検証するという作業が必要でした。
こうした作業のために無償で、施設や道具、電力を提供する人や企業はいませんから、何らかの報酬が必要になります。
その報酬を受け取るのは誰かというのを決める方法として、一番早く計算の答えを出した人に、新しいコインを報酬として支払いますという方法が採用されています。
こうした報酬システムが採用されているということの証明として、各ブロックにはコインベースという特殊な取引の記録があります。この取引は、AさんからBさんへのコインの譲渡という取引ではなく、コインの生成を表すものです。
受取側はブロックの生成者、つまり一番早く計算の答えを出した人です。
この報酬システムはビットコインができた2009年からそれ存在し、2009年は、1ブロックで50BTCがもらえました。この報酬は210,000ブロックが新しく生み出されるたびに半減し、2012年には25BTC、2016年には12.5BTCとなっています。
ビットコインの発行枚数の上限は2100万BTCですから、6,929,999番目のブロックが最後の採掘報酬となります。新規のブロックの作成速度は、約10分になるように調整されていますから、それで計算すると6,929,999個のブロックが出来上がるまでの期間は約132年です。最後のブロックが出来上がるのは西暦2140年頃ということになり、それまでは、マイニングで報酬を得ることが可能というわけです。
3. ブロックチェーンのマイナーに必要なこと
仮想通貨のマイナーが行うマイニングとは何のなのか、そこから報酬を得るためのシステムはどのようなものなのかを紹介しました。
そこから見えてきた、マイナーとして報酬を得るために必要なものは何なのかを紹介します。
3-1. マイナーに必要な知識・技術
マイナーとして活動するには、仮想通貨とコンピューター両方に関する知識が必要です。
仮想通貨を管理するウォレット、マイニングソフト、マイニングのためのマシン(パソコン)がなければなりません。
ですからウォレットでコインを管理するための知識、マイニングソフトをダウンロードしてパソコンで使用する場合には、プログラムに触る場合もあるので、パソコンに関する知識や技術も必要になります。
3-2. マイナーに必要なマイニングマシン
マイニングに適しているマイニングマシンを3つ紹介します。
①ASICマイニング
ビットコインのマイニングに最も適しているのがASIC(エーシック)機です。マイニングでの計算を行うための集積回路を搭載したマシンです。USBなどでパソコンに接続しマイニングを行います。
しかし20万円程度の価格がいること、設置場所や電気代などのランニングコストを考えると、個人が自分一人で行うマイニングには向かないと言えます。
中国などでは、サーバー冷却などにかかる電気代が安いことなどを理由に、何千台ものASIC機を導入したマイニング工場などがありますから、個人でASIC機を導入しても、競争に勝利するのは難しいのが現状です。
②GPUマイニング
GPUはゲームPCなどに搭載されているグラフィックボードのことです。映像を再生する時や暗号化をするための高度な演算処理ができます。単純で膨大な量のデータを短い時間で処理できるので、パソコンに普通に搭載されているCPUよりは、処理能力が高くマイニングに向いていると言えます。
しかしASICに比べると、その計算能力は劣るので、ビットコインのマイニングには不向きです。
GPUは大きく2種類に分けられます。NVIDIA社のGeForceはビットコイン系のマイニングと相性が良く、AMD社のRADEONはイーサリアム系のマイニングに向いていると言われています。
③CPUマイニング
普通のパソコンに搭載されている頭脳の部分、つまりCPUでマイニングを行うという方法です。これまで紹介したASICやGPUは高価で、初期投資できないという方におすすめです。
3-3. 個人でマイニングは可能?
個人でマイニングするには、マニングマシン、電気代などの費用がかかります。ASIC機でマイニングを個人でしても、マイニング企業に勝つのは難しいです。
GPUやCPUでマイニングできるアルトコインを探してみて、競争相手が少なければマイニングで収益を上げることは可能です。
また別の方法として、プールマイニングやクラウドマイニングという方法もあります。プールマイニングとは、自分のパソコンのをネット経由で提供し、そのパソコンのマシンパワーの大きさに応じて報酬を受け取ることができるサービスです。
クラウドマイニングは、マイニングをしている企業にお金を払い作業をすべて代行してもらうという方法で、マイニングマシンを買う必要もありません。
4. ブロックチェーンの51%問題とマイナーの関係
51%攻撃とは悪意を持った個人や企業が、ネットワーク全体の採掘速度の51%を支配して不正な取引を行うことです。
これが成功すれば、次の3つのことが可能になります。
①不正な取引を正当化させる
②正当な取引を拒否する
③ マイニングを独占する
実は、現状ではこの攻撃に対する有効な対策はありません。ですからこれが51%問題と言われています。
しかし、マイナーが仮に、この攻撃を行ったとしても、利益を生むのは困難です。
なぜなら次のような構図が生まれるからです。
①51%攻撃を仕掛けるて成功する
②ビットコインの安全性が失われたということで、ビットコインの価値が下がる
③価値の下がったビットコインを不正な仕方で大量入手しても利益につながらない
このような結果が予想されます。また、51%攻撃を仕掛けるには、高いコストがかかるというのもこの攻撃が実際に行われる可能性が低いと言われる理由になっています。
5. まとめ
仮想通貨のマイナーと、彼らの行うマイニングについて紹介しました。マイニングの作業がどうして報酬につながるのかも理解できましたが、報酬を得るには、処理能力の高いマイニングマシンの存在が不可欠です。
個人でもマイニングできるアルトコインを探して、マイニングに挑戦することができます。資産を増やす方法のひとつとしてマイニングという方法を検討してみるのはいかがでしょうか。